卒論大詰め
毎年、この時期、全国の大学4年生が、卒業研究の大詰めを迎えています。
ある学生は、自信満々で書き上げ、別の学生は、自分は卒業できるのだろうか?と不安を持ちます。
指導にあたる教師も、色々な思いを持ちながら、卒論学生を見守っています。教師も学生も同じ船に乗っているようなものなのです。
卒論指導は、ただ単に、研究方法や論文の書き方を指導しているのではありません。卒論テーマを決めるとき、また研究経過を共有するとき、教師は、ものすごく質の高い研究情報を手にすることができるのです。教師は、学生から思いがけない研究結果を知らされて嬉しい発見を体験することが多いのです。そんなとき教師は、「あっ、そうなのか!」と驚くと同時に、「こういう研究テーマを選んでくれてありがとう!」という気持ちになります。
今年も、そんな体験をしています。あるドラゴンズファンの学生の選んだテーマは、日本のプロ野球選手の成績と年俸の関係の統計的分析です。ところが最近話題のメジャーリーグのセイバーメトリクスを使っても、どうしても上手な予測モデルが見つからない。学生も編集子も弱り始めました。それでもあきらめずに、複数の要因を組み合わせていったところ、とうとう見つけました。
なんと精度95%の予測モデルです。これを見つけたときは、あまりに精度が高いので、ひょっとしてこれは計算違いか?と思ったほどです。入団以来の通算出場試合数に、セイバーメトリクスのRC(前年の得点貢献度)を掛けた数値を使って年俸の予測式を作ると、非常に高い精度のモデルとなったのです。
考えてみれば、これは大変常識的なモデルです。長年使われ続けた実績がなければ高額年俸にはならないし、年間の成績が契約更改の最大の争点となるわけですから。それを数式ではっきりとモデル化できたことが、この学生の研究成果です。そしてこのような体験を得させてくれたことに、編集子は感謝していま す。
卒論に励む4年生の皆さん、自分の力を信じて、がんばれ。ゴールは目の前だ。