これからの企業経営は英語力がカギ !?
皆さん、こんにちは。経営学部准教授の吉川伸一です。
言うまでもなく日本は製造業が盛んです。これまでは製造業が日本を支えてきました。大手メーカーの下に部品メーカー、その下に町工場が連なるというモノづくりのツリー構造が日本国民に豊かな暮らしを与えてきました。
でも、今はどうでしょうか。アジアの市場を見ても、けっして日本一人勝ちの状況ではないですよね。ここ数年の間に韓国、中国、台湾の企業が台頭してきました。特に価格面で日本の製品は苦戦を強いられています。
これからの時代で世界を相手に勝つためには、単にモノづくりに長けているだけではダメなようです。技術者や職人が、自分の心ゆくまで納得のいくモノをつくるだけでは生き残ることはできないでしょう。
携帯電話を例にとってみましょう。日本国内の携帯電話は、高機能かつ多機能です。これだけ高度な携帯電話だから、おそらく世界でも高いシェアを取っている、と思いがちですが、実は日本国内の携帯電話会社6社を併せても10%にも満たない状況です。
世界で最も高いシェアを誇るのはフィンランドのノキア社です。次いで、韓国のサムスンやLGが高いシェアを取っています。なぜ、こんなに日本は差をつけられてしまったかというと、海外でのマーケティング展開が出遅れたためです。韓国は人口が5,000万人に満たないため、国内だけでは事業の拡大が困難なので、いきなり海外を相手にする。一方、日本は1億3,000万人の大きな市場なので、まず国内、それからに海外へという2段階を経た経営スタイルになってくる。
また、新興国の庶民でも買えるような、低価格の携帯電話に抑えるために付加する技術の取捨選択が必要だったのです。
もし、それでも高度な技術にこだわるのであれば、“いいモノ”をアピールする、売り込むための
プロモーション力
が必要なのです。世界市場で高いシェアを確保するためには世界中の多くの人と話すことができるよう、
英語力
を身につける必要があります。
アジアで大きなシェアを取る場合、人口の多い中国やインドを避けることはできません。中国の人々と話をするためには、中国語でなくとも英語でもよいと言われています。同様に、インドの人々と会話するのにも英語でよいそうです。中国人は中国語なまりの英語、インド人はヒンディー語なまりの英語なので、我々日本人もけっして流暢な英語でなく、日本語なまりの英語でもいいのではないでしょうか。
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【参考文献】
真壁昭夫、日本がギリシャになる日(ビジネス社)
高橋乗宣、浜矩子、2011年日本経済ソブリン恐慌の年になる!(東洋経済新報社)
榊原英資、日本脳改造講座(祥伝社)