「改革」というコトバ
企業経営の世界では、「改革」は、いわゆる「カイゼン」とは全く別物であると見なします。手直しする程度のものが「カイゼン」、大規模に手を入れるものが「改革」、という人もいますが、規模の違いだけで区別しても意味がないと経営学では考えています。
この分野で著名な経営学者である、MIT(マサチューセッツ工科大学)のマイケル・ハマー元教授は、事業経営における改革というものは、「可能な限り迅速な方法で、事業構造に抜本的な変化を与え、劇的な成果を引き出す営み」 でなければならない、と主張しています。(彼は、リエンジニアリングという言葉を与えましたが、今では廃れて、昔どおりの「業務改革」という用語で通している会社が多いと思いと思います。私も、それで構わないと思っています。)
さて、それでは実際はどうでしょうか? 言うはやすし、されど行うは難し。「改革」を叫ぶことは簡単ですが、掛け声倒れに終わるケースもまた多いのです。ただし、失敗したら、即、それで終わりというわけではなく、サバイバルする企業は一度や二度の失敗で決してへこたれず、何度も挑戦します。実を言うと、失敗から教訓を学んで再挑戦した企業の中からすばらしい成功事例が生まれていることを、経営学では学ぶのです。
わが国においては、今ほど「改革」というコトバがもてはやされている時代はないでしょう。それをただの流行り言葉で終わらせないためには、何が必要でしょうか。過去の教訓に学びつつ、何がなんとしても成功に結び付けようとする執念に満ちた挑戦を続けることが出来れば、何がしかの変化をもたらすことは可能でしょう。経営学は、それが可能であることを教えています。
ぜひ来年は、多くの日本企業が、そのような営みの末に、手ごたえの良い成果を手にしていることを願っています。
中西昌武 記
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