遺伝子の多様性|経営学部ブログ|名古屋経済大学

遺伝子の多様性

遺伝子の多様性

特攻を題材とした映画、「永遠の0」を観ました。感想として、特攻関係者だった知人からもっといろいろと聞いておけばよかったとの想いがあります。亡くなった今では知る由もありませんが、その人があまり多くを語らなかった理由の一つには、どう伝わるかわからないという聞き手側の受けとり方の多様性があると思います。けれども、この多様性は大切なことではないかと考えています。

ところで、生物多様性は複層的な概念ですが、それを構成する要素の一つとして遺伝的多様性があります。専門ではないので理解はいささか粗雑ですが、生物の細胞にはDNAという高分子化合物があって、DNA上には4種類の核酸塩基がいろいろな順番で並んでいます。この塩基の順序の一部を遺伝子といい、その生物の個体を作るための一部の設計図です。すなわちDNAは物質で、遺伝子は情報なのです。遺伝子の多くがその種に共通で、一部の異なる部分がその固体の個性を生むことになります。ヒトの場合でいうと、DNAは引き延ばすと2メートルにもなるという世の中で最も大きい分子です。そのDNAにある約3万個の遺伝子の内90%以上は共通で、数%が目の色、髪の色、体格などの個性を生みます。これが遺伝子の多様性です。この多様性のゆえに種は分化し進化する。そして、変化し続けることができる種が、環境に適応し生き残ることになる。種の保全のためには多様性が必要なのです。一方、全く同じDNAを複製するクローンは、何体作っても遺伝子の多様性が無いので個体数としては1と数えるそうです。つまり、クローン技術をいくら発達させても種の絶滅は防げないということです。

変化し続けるためには多様性が必要であることは、人の世の諸事にも当てはまりそうな気がします。もっとも、地球の歴史を24時間とすれば、人類の歴史はほんの1秒にすぎないそうですから、地球という星にとって人類の存続はあまり重要でないのかもしれませんが。

(経営学部 横山光伯)

図はウィキペディアより