名経大は花のキャンパス 宮川 昇
四月から五月は、名経大の犬山キャンパスは花の園に変身します。大学は内久保の丘という小高い山の上に聳えていますので、地理的条件にあえば10キロ以上先からでも観ることができます。言うまでもなく名鉄小牧線の車内から目に入る本学の景色は絶景です。とくに花の美しい時期は四月と五月です。私が初めて内久保の丘を訪れた三十数年前は、今よりも桃の木の本数も多く、丘一面が桃の果樹園でした。その丘が桃色に染まるさまは、『平家物語』風にいえば、陶淵明が求めた桃源郷の有様もかくやありけんとぞ見えし、という風情でした。桃の花は、昔と比べて少し精彩を欠いていますが、桜は昔よりも鮮やかです。8号館研究棟を背景にして咲き誇る満開の桜は見事です。このアングルが犬山キャンパスの中で最も美しいと、人間生活科学部の飯田先生が推薦されましたので、飯田先生の撮られた写真を一枚拝借して、上に載せておきます。
桜は、四月初旬には満開になりますので、学生や教職員の目を十分に楽しませてくれます。だから桜は幸せな花だといえましょう。しかし、本当は桜よりも一所懸命キャンパスを飾っているのに、評価されないまま色あせて消えていくけなげな花があります。その花は、お隣の小牧市の花で、四月の終わりから五月の中頃まで日本中を彩る「ツツジ」です。本学も内久保キャンパス一面に咲き誇り、その美しさは眩しいほど見事です。実は、本学を象徴する花も桜ではなくツツジかも知れません。
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現在の情報センターの建物は、元々は図書館として建てられました。そして、新しい図書館が建造されたとき、その建物は喫茶店に変身しました。その時、その名前を学生から広く公募しました。その結果、採用された名前は、ツツジの英語名『アゼリア』でした。その根拠は、誰もが内久保キャンパスのツツジを愛し、その美しさに憩いを感じていたからだと思います。当時はまだ「連休の谷間」という概念が厳然と幅をきかせていて、今ほど連休は連休と呼べるほどのものではありませんでした。その連休谷間の出講日に、辛い思いで登校してくる私たちをツツジが満面の笑みを浮かべて出迎えてくれました。しかし近年は、週休二日制の導入に加え、創立・開学記念日などの大学独自の祝日をその期間に移したので、少なくても7連休、多いときは10連休以上にもなります。しかもキャンパス全体が丘の上にあるため、日当たりが良すぎて、ツツジの満開の時期が丁度ゴールデンウィークの真っ只中に当たってしまします。上のツツジの満開写真に写っているような鮮やかな色彩と香りを満喫できる学生や教職員は、クラブや補講に出てきた極一部の幸せ者だけです。ほとんどの人は、連休明けに大学に出て来て、下の写真に写っているような、盛りが過ぎてチラホラ咲きツツジを観るだけです。花の美しさを満喫できない私たちも不幸なら、花の盛りを観てもらえないツツジも可哀想です。しかし今年は、桜も初春の寒さのために開花が四、五日遅れているようです。ツツジもそのくらい開花が遅れると嬉しいです。名経大のツツジは、ゴールデンウィーク中でも足を運んで鑑賞する価値は十分にあります。