高校生にも分かるカントール集合入門|経済学部ブログ|名古屋経済大学

高校生にも分かるカントール集合入門

 集合論を創設した Georg Cantor の名前から付けられた,Cantor 集合というものについて研究しています。これはその性質からいうと,「コンパクト 全不連結 完全 距離化可能空間」 というものになります。ずいぶん難しそうな言葉ですが,高校生の方々にとっても,そんなに難しくないかも知れません。それでは,順次解説して行きましょう。おおまかな話で,申し訳ありませんが。

正方形と線分

 まず,「コンパクト」 ですが,この場合は,点列をとったとき,どこかに集積する(何も無いところを目指さない)ということです。例えば,実数全体で,点列を1,2,3,・・・ と続けて行くと,何も無いところを目指すものが取れます。(無限の彼方へ飛んで行く。) しかし,線分 [0,1] や, 縁の付いた正方形 では,こんなことはできませんね (図1)。 無限回点を取ると,どこかに無限回点達が集まった点が,少なくともひとつ出来ます。 線分[0,1]や縁の付いた正方形のような空間 (数学では3次元でなくても空間といいます) をコンパクトと言います。

 正方形は繋がっていますが,この一部を除いて,縁の付いた2つの部分に分けてみましょう(図2参照)。これでもコンパクトです。 
正方形の2分割
 これらを更に2つに分けて行きます。どんどん分けていって,ひとつひとつが面積も長さも無いようにして行きます(図3)。 この極限が 「全不連結」 ということです。
正方形→カントール集合

孤立点
 こんなふうに2つに分けて行くと,孤立した点(図4参照)というものも存在しないことになるでしょう。 この孤立した点が存在しないというのが, 「完全」 と言われます。 こうして出来た極限の部分には,もともと平面上の距離がありますから,距離を考えることができます。 距離を考えることが出来るというのが, 「距離化可能」 ということです。

線分→カントール集合
 これで全部の説明を終わりますが,こんなふうにCantor集合のことを紹介すると,異論があるかも知れません。本当のCantor集合は,線分[0,1]から真ん中の3分の1を 縁を残して 抜きます。これを繰り返してできる図(図5参照)で,全体の長さは0の集合です。

(下村 尚司)